APMはActions Per Minuteの略で、ゲーム中に1分間で行った操作の回数を指します。ユニットをクリックして選ぶ、移動や攻撃の命令を出す、コントロールグループ(部隊のショートカット登録)のキーを押すといった操作が、それぞれ1回のアクションとして数えられます。特にStarCraftのようなリアルタイムストラテジー(RTS)で、実力と並んで語られる指標として広く知られるようになりました。ただし、StarCraftのコミュニティWikiであるLiquipediaが説明しているとおり、APMには標準の計算方法がありません。どの操作を数えるのか、試合全体で割るのか直近の数秒だけを見るのかによって、同じプレイでも数値が変わります。たとえばStarCraft: Brood Warの代表的なリプレイ解析ツールであるBWChartとbwRepInfoは試合全体を基準に計算し、最初の150秒を除外しますが、試合中にAPMを表示するプラグインの多くは60秒単位で計算します。そのため、同じ命令の無駄な繰り返しを除いて有効な操作だけを数えるEAPM(Effective APM)という指標も別に使われています。同じ3文字でも意味が違う場合があることを知っておくと、検索で迷いません。IT業界のAPMはアプリケーションパフォーマンス監視(Application Performance Monitoring)、テトリス系ゲームのTETR.IOでいうAPMは1分あたりの攻撃量(Attack Per Minute)です。この記事ではゲームの手の速さとしてのAPMを扱います。「APMとは」「APMの平均はどれくらい」「LoLでAPMを確認する方法」といったよく検索される疑問に沿って、StarCraft: RemasteredとStarCraft IIでAPMを見る場所、出典つきの公開データ、ゲーム内にAPMがないLoLやVALORANTで録画クリップからAPMを見る方法、APMを上げる練習の進め方を順に整理します。ゲームのメニューと数値は2026年10月14日に確認した内容です。
結論:良いAPMは決まった数字ではなく、同じ条件で測った自分の記録の変化です
「良いAPMはいくつか」に答えられる公開データは、ほぼStarCraft IIのものに限られます。最も規模が大きいのは、2013年に学術誌PLOS ONEで発表されたSkillCraft研究(Thompsonら)で、ブロンズからマスターまでのラダープレイヤーとプロ55人を合わせた3,360人のリプレイを分析しています。このサンプルの平均APMは約117、標準偏差は約52でした。研究チームはリーグを分ける要素も比較しています。ダイヤモンドとプロを分ける場面ではAPMが行動レイテンシ(視点を移してから最初の操作までの時間)より重要でしたが、ゴールドとダイヤモンド、プラチナとマスターのような中間のリーグを分ける場面では、行動レイテンシが最も重要な要素でした。上位帯ではAPMが差を生み、中間帯では状況を素早く判断して最初の操作に移る速さの比重が大きかったということです。なお、このデータは2011年ごろのバージョン(1.3.6)のリプレイで、StarCraft IIはLegacy of the Void以降、観戦・リプレイ・試合後の統計画面のAPMを実時間基準で表示するように変わっています(Liquipedia)。今のゲーム画面の数値とは1対1で比べられません。プロの数値は出典によって違います。英語版Wikipediaの「Actions per minute」の項目は、韓国のプロゲーマーの平均APMを250〜350程度、激しい戦闘では400を超えることが多いと記述しています。一方、ギネス世界記録はStarCraftの項目で、プロゲーマーは約180を維持し、戦闘中には1,000を超えるピークに達することもあると紹介しています。2つの出典は基準が違うため、1つの平均にまとめることはできません。リーグ・オブ・レジェンドとVALORANTは事情が異なります。どちらもゲーム画面や試合結果にAPMを表示せず、2026年10月14日時点で出典を確認できる公開の目安も見つかりませんでした。Fakerのようなプロの手の速さを知りたいという検索は多いものの、公式の記録がないため、出回っている数字の根拠は確かめにくいのが実情です。結論はシンプルです。他人の数字と比べるより、同じゲーム・同じ測定ツールで測った自分の試合のAPMを記録し、練習の前後でどう変わったかを見てください。
ゲーム別にAPMを確認する方法
- 1StarCraft: Remasteredでゲーム内のAPM表示をオンにするメイン画面では設定を、対戦中はメニュー(F10)を開いて設定に入り、「ゲーム」の項目を選びます。APMの記録に関する項目にある、ゲーム内でAPMを表示するチェックボックスをオンにして確定すると、対戦画面に自分のAPMがリアルタイムで表示されます。このオプションは2017年4月のパッチ1.18で、経過時間の表示と一緒に追加されました。同じ場所でAPMが設定値を下回ったときの通知に数値を入れ、文字の色の変更をオンにすると、APMがその値を下回ったときに数字が赤く変わります。項目名はクライアントのバージョンや言語によって少し異なる場合があります。
- 2StarCraft IIはリプレイと試合後のスコア画面で見るStarCraft IIでリプレイを再生すると、画面左上のリプレイオーバーレイにあるAPMの項目で、プレイヤーごとの平均APMと現在のAPMを確認できます。試合後のスコア画面でもAPMが集計されます(2013年のパッチ2.0.4で追加)。Legacy of the Void以降、観戦・リプレイ・試合後の統計のAPMは実時間を基準に計算されています。1対1のラダー中に自分のAPMをリアルタイムで表示する標準の設定は、2026年10月14日時点で公式の資料からは確認できなかったため、対戦中に数値が必要な場合はゲームのオプションメニューを直接確認してください。
- 3LoLとVALORANTはまず録画からリーグ・オブ・レジェンドとVALORANTは、ゲーム画面にも試合結果にもAPMが表示されません。APMを見るには、試合を録画しておき、録画と同時にキーボード・マウスの入力も記録するツールで確認する必要があります。Webで見つかるAPMや手の速さのテストは、テスト画面でクリックする速さを測るものなので、実際の試合でスキルを使いながら動いたときのAPMとは違う場合があります。自分のプレイのAPMを知りたいなら、実際の試合で測ってください。ゲームによっては録画ツールを管理者権限で実行しないと入力が記録されない場合があるので、最初の1〜2試合で入力がきちんと残っているかを先に確認しましょう。
- 4DORのクリップでタイムラインのAPMグラフを読むDORのWindowsアプリで録画し、入力の記録が残っているクリップをクリッププレイヤーで開くと、タイムラインにAPMグラフが表示されます。グラフにマウスを乗せるとその時点のAPMが表示され、クリックするとその場面に移動します。数値は直近10秒間に新しく押したキーとマウスボタンの数を6倍した値なので、集団戦のように操作が集中する場面で跳ね上がり、移動や待機の場面では下がります。ゲームのウィンドウが前面にあるときだけ集計されるため、別のウィンドウを見ていた時間はアクションとして数えられません。
- 5ピークAPMの場面に移動して、何をしていたかを見る分析パネルのコントロールタブには、再生位置の現在のAPMとクリップ全体のピークAPMが並んで表示され、ピークAPMの横に表示される時間をクリックすると、その場面の少し手前へ移動できます。数字だけで終わらせず、その数秒間に実際に何を押していたかを確認してください。同じコントロールタブでキーボード・マウスの入力オーバーレイをオンにしておくと、オーバーレイに含まれるキー(決まった一部)とクリックが映像の上に表示されるので、意味のある操作だったのか同じキーを連打していただけなのかを見分けやすくなります。
- 6MedalのクリップならプレビューウィンドウのAPMラインを見るMedalでもAPMを確認できます。Medalのサポート記事「Video Overlays」によると、設定のVideo Overlaysでキーボード・マウスのオーバーレイをオンにして録画したクリップは、プレビュー(Preview)ウィンドウのタイムラインに青い線が表示され、この線が時間ごとのクリックとキー入力の量を表すAPMです。オーバーレイをオフにして録画したクリップには線が表示されず、録画されたオーバーレイはエディターで非表示にできないと案内されています。アプリごとに数え方が違う場合があるので、MedalとDORの数値を互いに比べないでください。
出典別のAPMの数値と読み方(2026年10月14日確認)
| 対象 | 公開されている数値 | 出典と注意点 |
|---|---|---|
| StarCraft IIのラダープレイヤーとプロ3,360人 | 平均約117、標準偏差約52 | SkillCraft研究(PLOS ONE、2013年)。2011年ごろのバージョン(1.3.6)のリプレイが基準のため、今のゲーム画面の数値とは直接比べにくいです。 |
| リーグを分ける要素(同じ研究) | ダイヤモンドとプロの間はAPMが行動レイテンシより重要、ゴールド〜ダイヤモンドとプラチナ〜マスターの間は行動レイテンシが最も重要 | 中間リーグでAPMが無意味という意味ではありません。判断と最初の操作の速さの比重が大きかったという結果です。 |
| 韓国のプロゲーマー(StarCraft) | 平均250〜350程度、激しい戦闘では400超え | 英語版Wikipedia「Actions per minute」の記述です。どのツールでいつ測った値かは示されていません。 |
| プロゲーマー(ギネス世界記録) | 約180を維持、戦闘中は1,000超えのピーク | ギネス世界記録「Most actions per minute in a videogame」(StarCraft)の説明です。Wikipediaとは基準が違うため、2つを合わせて平均しないでください。 |
| 始めたばかりのプレイヤー | おおむね50未満 | 英語版Wikipediaの同じ項目の記述です。ゲームや測り方によって変わります。 |
| リーグ・オブ・レジェンド、VALORANT | ゲーム内のAPM表示なし、公開の目安なし | 公式の記録がないため、プロの手の速さとして出回る数字は出典を確かめにくいです。録画クリップで自分のAPMを測る方法は下で説明します。 |
| テトリス(TETR.IO) | APM=1分あたりの攻撃量(Attack Per Minute) | 手の速さではなく相手に送った攻撃の量なので、他のゲームのAPMとは比べられません。速さはPPS(1秒あたりのミノ数)で見ます。 |
APMを上げる練習のチェックリスト
- 練習を始める前に、同じゲームの普段の試合をいくつか測ってAPMの基準値をメモした。
- 測定ツールを1つに決めた。ゲーム内表示、リプレイ解析ツール、録画アプリは計算方法が違うので混ぜて比べない。
- RTSならコントロールグループと建物のショートカットを決め、マウスでアイコンを押していた操作をキーボードに移した。
- 同じキーの無意味な連打で数字だけを上げず、APMが上がった場面で実際に何をしたかを映像で確認する。
- 戦闘の前後など、やることが集中する場面でAPMが落ちていないかを見る。StarCraft: RemasteredならAPM低下の通知を目標値に設定しておく。
- 1〜2週間練習したら同じ条件の試合と比べ直し、勝敗や判断ミスなどAPM以外の記録も一緒に見る。
DORで録画したクリップでAPMを読む
DORは無料のWindows PCアプリで、ゲームを録画している間、キーボードとマウスの入力も一緒に記録します。NohBoardやOBSのプラグインを別に入れる必要はありません。入力の記録があるのは、2026年7月に配信されたv1.3.38以降のDORで録画したクリップです。それより前に録画したクリップ、クラウドにだけあるクリップ、取り込んだりアップロードしたりしたファイル、OBSやスマホで録画した映像には入力の記録がないため、APMも表示されません。DORが数えるのは、新しく押したキーまたはマウスボタン1回です。マウスの移動、押しっぱなしのキー、ホイールは数えません。現在のAPMは直近10秒間のアクション数を6倍した値で、ゲームのウィンドウが前面にあるときだけ集計されます。クリッププレイヤーのタイムラインにあるAPMグラフでクリップ全体の流れをつかみ、分析パネルのコントロールタブで現在のAPMとピークAPMを確認して、ピークの場面に移動しましょう。1回の集団戦だけを見直したいなら、録画中にショートカットキーで直前の場面をクリップとして保存しておく方法もあります(今のあの場面だけをクリップに保存する方法)。同じコントロールタブでキーボード・マウスの入力オーバーレイをオン・オフでき(初期設定はオン)、見た目はDORマスコット・ネコ・イヌ・ロボット・コンパクトの5種類で、ドラッグで位置を、角でサイズを変えられます。表示されるキーは決まった一部で、キーボード全体ではありません。コンパクトはQ W E R、Shift A S D F、Ctrl Spaceとマウスボタン、キャラクターの見た目は1〜6、Q W E R、A S Dとマウスを表示します。手元の操作をショート動画に使いたい場合は、区間カットまたは共有時の編集ステップで入力オーバーレイを挿入するスイッチがオンになっているか確認してください(アプリの表示言語にかかわらず、このスイッチ名は韓国語で表示される場合があります)。オンなら、キーボードとマウスのボードが新しいクリップに合成され、そのクリップには「合成済み」のバッジが付きます。比率は9:16(1080x1920の縦全画面)、16:9(元の構図)、1:1(9:16フレームの中の正方形と黒い余白。エディターの初期設定で、無料アカウントではDORのロゴと名前タグが入ります)から選びます。区間カットを完了するにはログインが必要です。書き出したオーバーレイはプレビューより小さくなる場合があるので、完了する前にサイズを一度合わせてください。APMの数値とグラフはプレイヤーでだけ表示され、書き出した動画には合成されません。何度録画しても入力が記録されないゲームでは、コントロールタブの「管理者として再起動」ボタンでDORを管理者権限で起動し直す必要がある場合があります。Medalも録画時にキーボード・マウスのオーバーレイをオンにしていればAPMの線を表示します。違いは、Medalではオーバーレイが録画の時点で映像に入りエディターで非表示にできないのに対し、DORは録画後にプレイヤーでオン・オフを切り替え、書き出すときだけ合成する点です。2つのアプリのその他の違いはMedal.tvの代替で確認できます。


