なぜゲームごとに感度の感じ方が違うのか
PUBGで使っていた感度の数字をヴァロラントにそのまま入力すると、まったく違う感覚になります。理由は単純です。ゲームごとに感度の数値1が意味する回転量が違うからです。あるゲームは0.1刻みで細かく調整できるよう設計されており、別のゲームは2桁の数字を基本にしています。つまり感度の数字はゲーム内部でしか通用しない単位であって、ゲーム同士を比べられる共通単位ではありません。そこにマウスDPI、画面解像度と視野角(FOV)、スコープ倍率の補正方式まで絡んでくると、体感の差はさらに広がります。だから感度を移すときは数字をコピーするのではなく、手が実際に動く距離を基準に計算し直す必要があるのです。
eDPI = DPI × ゲーム内感度
- eDPI(effective DPI)は、マウスDPIにゲーム内感度の値をかけた数字です。たとえばDPI 800でゲーム内感度0.4ならeDPIは320です。
- eDPIを使う理由は、DPIとゲーム内感度が互いに打ち消し合うからです。DPI 400で感度0.8の人と、DPI 800で感度0.4の人はeDPIが同じなので、体感感度も実質的に同じになります。
- ただしeDPIが比較基準になるのは同じゲームの中だけです。ゲームが違えば感度1の意味が変わるので、同じeDPI 320同士でも別々の感度になります。
- コミュニティで感度を共有するときにDPIとゲーム内感度を併記するのは、まさにこのためです。感度の数字だけ聞いても、情報は半分しか伝わりません。
cm/360こそが本当の基準である理由
ゲーム間の変換で最も信頼できる基準はcm/360です。キャラクターをその場でちょうど1回転(360度)させるのに、マウスを何センチ動かす必要があるかを表す値、いわゆる振り向き距離です。この値はゲームの内部単位ではなく実際の物理的な距離なので、ゲームが変わっても意味がそのまま保たれます。感覚そのものが手首と腕の移動距離として記憶されるものなので、マウスパッドの上で何cm動かすかが、そのままその人のエイム感覚になります。cm/360が小さいほどハイセンシ(短い距離で大きく回る)、大きいほどローセンシです。感度を移すときは、結局このcm/360の値を維持することが目標だと考えれば大丈夫です。
ゲーム間の感度変換の計算方法(ステップ別の例)
- ステップ1.現在の設定を正確に書き出します。マウスDPIと、現在のゲームの感度値の2つが必要です。例としてDPI 800、PUBGの一般感度50と仮定します。
- ステップ2.現在のcm/360を確認します。最も確実な方法は実測です。マウスパッドに定規を当て、キャラクターがちょうど1回転するまでにマウスを動かした距離を測ります。壁の特定のポイントにクロスヘアを合わせた状態から始め、同じポイントに戻ってきた瞬間を基準にすると誤差が減ります。
- ステップ3.移す先のゲームで感度をざっくり決め、同じやり方でcm/360を測ります。例として、新しいゲームで感度0.5のときに30cmだったとしましょう。
- ステップ4.比例式で目標感度を求めます。目標感度 = 現在の感度 ×(測定したcm/360 ÷ 目標cm/360)。上の例で目標が25cmなら、0.5 ×(30 ÷ 25)= 0.6になります。
- ステップ5.計算した値を入れて、もう一度測定して検証します。FOVやスコープ倍率の設定が変わると値がまたブレるので、設定を確定させたあと最後に再確認するのがおすすめです。
- 上の数字は計算の流れを示すための例です。ゲームごとの内部係数はパッチや設定によって変わることがあるので、実際の値は自分で測定した結果を基準にするのが最も安全です。
DPIを800から400に変えたら感度はどうなる?
このケースは計算がシンプルです。eDPIをそのまま維持すればいいからです。DPI 800で感度0.4を使っていたならeDPIは320で、DPIを400に下げたなら320を400で割った0.8をゲーム内感度に入れればOKです。DPIが半分になったので感度は2倍になる、という構造です。逆にDPIを1600に上げたなら、感度は0.2と半分になります。ちなみに、DPIを変えても手に感じる感度が同じならわざわざ変える理由があるのかと思うかもしれませんが、低いDPIはセンサーノイズが少なく、高いDPIは細かい動きの解像度が高いという違いがあります。最近のセンサーは400〜1600のどこを使っても十分に安定しているので、極端な値さえ避ければ問題ありません。

ゲームごとの感度スケールの違いに関する注意点
変換後に慣れるための方法
- 新しい感度に変えたら、射撃場や練習モードで10分ほど固定ターゲットを撃ちながら、まず手を慣らします。いきなり実戦に入ると、感度のせいなのかミスなのか区別がつきません。
- 180度の振り向きを繰り返し練習しましょう。後ろを振り向いたときにちょうど真逆を向いていれば、感度が手に馴染んだ証拠です。
- マウスパッド上のスタート位置を一定に保つ習慣をつけると、変換した感度にずっと早く慣れます。
- 適応期間中は感度をいじり続けないでください。最低でも数日は固定して判断してこそ、本当に合う値なのかが分かります。
- それでも違和感があるなら、5%以内で微調整してください。一度に大きく変えると、また最初から慣れ直すことになります。
DORで変換前後のクリップを比較する
感度が合っているかどうかは、感覚よりも映像で見るほうがはるかに正確です。DORでゲーム画面を録画しておけば、変換前の感度でプレイした交戦と変換後の交戦を並べて比較できます。チェックするポイントは明確です。クロスヘアが目標を通り過ぎてから戻ってくるオーバーシュートが減ったか、逆に目標まで届かず何度も刻んで押すアンダーシュートが出ていないか、です。オーバーシュートが多ければ感度はまだ高く、アンダーシュートが多ければ低いほうです。DORは無料で使えてハイライト区間だけ切り出して保存できるので、感度を調整した日ごとに交戦クリップをいくつか集めておけば、自分に合う値をデータで絞り込んでいけます。ヴァロラントやPUBGのように武器ごとのリコイルパターンがはっきりしているゲームほど、この比較が大きな助けになります。

まとめ
感度変換の要点は3行でまとまります。eDPIはDPIにゲーム内感度をかけた値で、同じゲームの中での比較基準です。ゲームが違うときはcm/360、つまり1回転するのに必要なマウスの移動距離を合わせるのが正解です。DPIだけを変える場合は、eDPIが維持されるように感度を反比例で調整すればOKです。計算機で出した数字は出発点であって、最終的な確定は射撃場での測定と実際の交戦クリップで行いましょう。数字よりも、手が覚えている距離こそが本当の感度です。


